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飛び立つ君の背を見上げる

自分の時間を他人に盗られるのは嫌だ。だけど、すべての時間を自分に費やし続けるのはどこか虚しい。 あらすじ 北宇治高校三年、中川夏紀。 私は今日、吹奏楽部を引退した――。 『響け! ユーフォニアム』シリーズの人気キャラ・中川夏紀の視点で、 傘木希美、…

憎悪人間は怒らない

「誰にとっても同じーー人が悪魔という言葉を使うとき、そこには悪魔はいない。いるのはただ、その人の弱さと脆さと限界だけ。そんなことは受け入れられない、という気持ちがあるだけ。他人を悪魔呼ばわりして、攻撃して、そして撃退できたとして、しかしそ…

マージナル・オペレーション[F]

「なぜそんな顔を?」 父は優しく言った。 「毎日ではないけれど、たまに人を殺しています」 僕がそう答えると、父は表情を変えずに言った。 「それは僕の命令だ」 僕は父の顔をもう一度見た。父は、こういうときだけは間髪いれず、そして表情も変えなかった…

東池袋ストレイキャッツ

どこかでだれかが笑った気がした。口笛も聞こえてきた。怒鳴り声も、猫の足音も、腐った水音さえも。コンクリートの継ぎ目から、錆びた排水口から、道行く人々のイヤフォンや靴底から。そんなどうしようもなく猥雑でいとおしい現実の夜の中で、僕はミウのギ…

さよなら流星ガール

「どうして生き物は死ぬと思います?」 よく見ると、茉莉の大きな瞳は赤く滲んでいた。だけど茉莉の言葉は、いつもと同じく馬鹿みたいに丁寧で、どこか偉そうな口調だった。僕は鼻水をすすり上げ、 「神様は寂しがり屋だから」 と答えた。笑みを浮かべた茉莉…

対魔導学園35試験小隊(7) 逆襲の紅蓮

> ヴラドは重く、力強く。レッドグレアをこう評した。> あらすじ 残存する魔力の脅威を取り締まる『異端審問官』の育成機関、通称『対魔導学園』には、劣等生の寄せ集め部隊『第35試験小隊』が存在する。タケルを欠いた小隊の面々は、純潔の徒殲滅作戦の最前…

東京レイヴンズ(11)

おかえりなさい、と。 そして、逃さないよ、と。 あらすじ 新年、東京。春虎を追い続ける夏目は、久しぶりにこの街に帰ってきた。呪術界を揺るがしたあの夜から一年半。かつての仲間たちの現状が気になりながらも、会えば迷惑をかけると己を律する夏目に、秋…

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン(3)

「金言を授けよう、不眠の輝将。――すべての英雄は過労で死ぬ」 あらすじ より多くの実戦経験を積むため、北域へと遠征することになる帝国騎士イクタたち。 目指すは、カトヴァーナ帝国九百年の歴史において、一度も外敵の侵入を許したことのない大アラファト…

皇国の守護者(4) 壙穴の城塞

「なにをしている?急げ、戦争だ」 あらすじ 北領を制圧したユーリア殿下率いる帝国軍は龍口湾上陸を果たし、皇国本土への侵攻を開始する。 これに抗すべく皇国軍は、陸軍剣虎兵少佐・新城直衛を未完の要塞“六芒郭”の臨時防御司令に任命。 大地を覆う帝国東…

皇国の守護者(3) 灰になっても

畜生。新城は思った。自分が戦場にいるのは戦うためであって、忘れ難いものたちを得るためではけしてないのに。 「僕には理解できない」新城は言った。 「どうしていざとなると、誰も彼もが地獄へ望んで進撃したがるのだ?」 あらすじ 北領での武勲で少佐に…

皇国の守護者(2) 勝利なき名誉

背後から叫びが聞こえた。漆原だった。猪口ではなく、漆原だった。彼は命じていた。 「総員、大隊長殿を救えッ。突撃ッ」 莫迦野郎。どうしようもない大莫迦野郎。新城は思った。この僕を救え、だと。 畜生。あいつ、命令を守っている。自分に続けば、半数は…

カンピオーネ!(16)

「会えてうれしいぞ、草薙護堂!我が運命の男よ!」 あらすじ 魔王、囚われの身に!?平和なクラスで起きた珍事件「囚われのカンピオーネ」、エリカと護堂のある夜の出来事「ローマの休日・深夜版」等短編を一挙収録! さらに古代ガリアから帰還した護堂たちが…

博多豚骨ラーメンズ

「・・・・・・待ってろ、今すぐ殺しに行く」 あらすじ 福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。 今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。 福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立…

皇国の守護者(1)

「今宵の地獄はここまでとしよう」 あらすじ 氷雪舞う皇国北端の地に、鋼鉄の奔流が押し寄せた。 圧倒的軍事力を誇る帝国軍怒涛の進撃に、皇国軍は為す術もなく潰走する。殿軍を担う兵站将校・新城直衛中尉は、死力を尽くして猛攻に立ち向かうが―!?真の「救…

ゼロから始める魔法の書

「そんな顔をするな。もしも君が人でないなら、我輩は世界が人でなしで溢れるようにと願う」 「魔女にそう願われたところでな・・・・・・」 まあ、悪い気はしない。だがそうとは口にしてやらない。 あらすじ 教会歴526年―。世界には魔女がいて『魔術』が存…

甘城ブリリアントパーク(3)

冗談ではありません。このパークはちっともすばらしくありません。なんでみんな、こんな場所でわいわいしたり、必死になったりしてるんでしょうか。馬鹿じゃないんでしょうか。 だけど椎菜は歌い続けました。 あらすじ 高校生なのに遊園地の支配人代行・可児…

OP-TICKET GAME(2)

「この戦いはパンツのようなものなのだ。タンスにしまわれたパンツはただの布きれであり、女子のスカートと羞恥によって隠蔽された時点で価値が生じる。つまり困難が大きいほど目指すものの価値が高まる。女はそれを知っててパンツの価値を高めている。パン…

王手桂香取り!

(あゆむの動かせる全ての駒は、まだ戦いたいと言ってるで。敵玉を攻める駒も、自玉を守ってる駒も、駒台にある駒も、みんな活躍したくてうずうずしとる。その機会が失われたわけやない。だからしっかり顔を上げて先を読むんや。本当の勝負はここからやで!) …

演じられたタイムトラベル

メンバーは最後の時間で、人間関係を修復することを放棄した。日常で培った関係は崩壊したのだ。いや、元々この関係が真実だったのかもしれない。上っ面で張りぼての関係だった。そして、このような密室の中で真実が見えたにすぎない・・・・・・。 あらすじ…

サクラダリセット(1)

生きているということは、いつでも死ぬということだ。 あらすじ 「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ―。能力者が集う街、咲良田。浅井ケイは、記憶を保持する能力をもった高校一年生。春埼美空は、「リセット」―世界を三日分巻き戻す能…

熊の場所

愛情というのはどうしてこんなにも乱暴になれるのだろう?どうして物事をうまくいかせようとすることを、こんな風にむりやり阻んだりするのだろう? あらすじ あなたの「熊の場所」はどこですか? 舞城王太郎の魅力を余すところなく表現した傑作集! 僕がま…

時間のおとしもの

いつからか俺の生き方を決めるのは自分じゃなくて時間になっている。電車を利用するようになってから、俺も時間のレールに乗り上げているみたいだ。 あらすじ 『携帯電波』―少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて…

女子高生店長のコンビニは楽しくない

最初に手にしたのはコンドームだった。どんな可愛らしい反応を見せてくれるのかと思いきや、早梨はとんでもないことを口にした。 「温めますか?」 耳を疑った。 ヤンキーっぽいけどそれなりに美人な店員が、ぼくが持ってきたコンドームを手に、客であるぼく…

アトリウムの恋人2

「東京をマス目に分割するなんて馬鹿げてるよな」 前田は街に視線を戻した。 「現実も同じかもしれないよ。みんなはこんなマス目に管理されて生活を送っているの。ひとりにひとつマス目が与えられてね。そして、マス目を介して近づいたり離れたり、手を握っ…

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

「……女の子と、付き合ったらさ、その……」 「うん」 「……いつからおっぱい触っていいの?」 あらすじ 「私と付き合ってください」新たな局面を迎えた恋愛模様。そして―「きょうちゃん。―おこるよ?」「貴様等、そこに並んで正座しろ!」「恋人ができたそうです…

アヒルと鴨のコインロッカー

「生きるのを楽しむコツは二つだけ」河崎が軽快に言った。「クラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと」 あらすじ 【第25回吉川英治文学新人賞受賞】「一緒に本屋を襲わないか」大学入学のため引越してきた途端、悪魔めいた長身の美青年…

ガンパレード・マーチ 5121小隊 熊本城決戦

「そなたはおのれのことばかり思い出していたのだろう。おのれがいかに傷つき、いかに悩んだか、そんなことばかり考えているのだろう。それは楽しいことかもしれぬが、健康に悪いぞ」 あらすじ 人類の命運を賭けた幻獣との決戦―熊本城決戦の火蓋は切って落と…

ガンパレード・マーチ 5121小隊 決戦前夜

「そなたは面白い人間だな。感情と想像力が豊かだ。しかし死ぬのに覚悟もへちまもあるか。たとえいかなる状況にあろうと、死という現象が訪れるまで、生を信じ、生を厭わず、生を望んで生き続ける。それが生物というものだ」 あらすじ 突如現れた幻獣との戦…

ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常

「忘れるな。たとえそなたが何者であろうと、そなたの友はそなたと一緒に戦い、そなたを守る。そなたの友は最高なんだぞ。ああ……つまりわたしのことだが」 あらすじ 黒い月とともに現れた幻獣との戦いが続く1999年、日本国会は徴兵年齢以前の少年を徴集する…

神様のカルテ(2)

「貴君の年齢で夢なんぞ見つからなくて当たり前だ。『やりたいことを見つけてそこに打ち込んでいくのが人生だ』などということ自体が、ただの幻想なのだから。世の中はそんなに都合よくできてはいない」 身も蓋もないことを言う。 「だいたい、そんなに目の…