メディアワークス文庫

さよなら流星ガール

「どうして生き物は死ぬと思います?」 よく見ると、茉莉の大きな瞳は赤く滲んでいた。だけど茉莉の言葉は、いつもと同じく馬鹿みたいに丁寧で、どこか偉そうな口調だった。僕は鼻水をすすり上げ、 「神様は寂しがり屋だから」 と答えた。笑みを浮かべた茉莉…

僕が七不思議になったわけ

「でも、私は卒業して、大人になって、最後まで生きて、そうやって、最後に言うんだ。全然ダメでも、つらいことばっかでも、いい事なんてほんのちょっとでも、大切な友達がいた事とか、大好きな人が出来た事とか、本気で笑った事とか、尊敬するお姉ちゃんが…

博多豚骨ラーメンズ

「・・・・・・待ってろ、今すぐ殺しに行く」 あらすじ 福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。 今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。 福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立…

たったひとつの、ねがい。

別に俺は見境のない人殺しなのではなく、必要だから殺しているだけなのだ。 あらすじ 彼女と知り合ったのは学生時代だった。互いに心を通わせてる、そのことすらも確認しなくても分かる日々。そして今日、俺は思い切って結婚を彼女に持ち出してみた。下手に…

演じられたタイムトラベル

メンバーは最後の時間で、人間関係を修復することを放棄した。日常で培った関係は崩壊したのだ。いや、元々この関係が真実だったのかもしれない。上っ面で張りぼての関係だった。そして、このような密室の中で真実が見えたにすぎない・・・・・・。 あらすじ…

時間のおとしもの

いつからか俺の生き方を決めるのは自分じゃなくて時間になっている。電車を利用するようになってから、俺も時間のレールに乗り上げているみたいだ。 あらすじ 『携帯電波』―少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて…

死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死

「この学校に、永遠の命を持った生徒がいるそうなんですよ〜」 あらすじ 「永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、ある女生徒か…

生贄のジレンマ(下)

……ああ、戦争は麻薬のようだ。 身を削ろうとも続けるしかない。強者になるためではなく、弱者にならないために続行しなければならない。戦い続けるうちに利益が減り、自らを荒廃させるだけとなってもやめることはできないのだ。 あらすじ 他人を生贄にして自…

生贄のジレンマ(中)

「酒って、お祝いだったりお祭りだったりと、重要な場面で飲むものだろ。そのときの味って、値段や店とかじゃなくて、どんな状況で誰と飲むかで変わるものだと思うんだ」 あらすじ 生き残るためクラスメイトに投票し生贄を選出するか。それとも自ら生贄に志…

生贄のジレンマ(上)

この六組は優しいクラスだったのだ。すべての生徒が友達を裏切ることなく綺麗な意思を持ち続けた。この光景は美しさなのだ。恐怖と不安に打ち勝ち、誰も他人を生贄に捧げなかった。 ―だから、四十個の死体が並んでいた。 あらすじ 「今から三時間後にあなた…

魔界探偵冥王星O―トイボックスのT

わたしたちを操っているものがあるというなら、それは愛だ。 あらすじ 目を覚ました。巨大な籠の中で。扉には、大きな南京錠が二つ。わたし、閉じこめられてるのか。赤ちゃん用のおもちゃに囲まれて、籠の隅には、仮面をかぶった大男がいた。…これなに?それ…

バカが全裸でやってくる

「僕が全裸で描いた僕の全裸を是非、きみにも全裸で鑑賞してほしい」 あらすじ 僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった…

魔界探偵冥王星O ペインのP

正論は正しいけれど、それを言う人間まで正しいわけではない。 あらすじ 金星堂。そう呼ばれる建物には、二人の姉妹が住んでいる。姉の名は、小金井明日葉。妹の名は、小金井今宵。彼女らは、ペイン――『痛み』を余剰に得、そして失った。痛みを余剰に得た姉…

六百六十円の事情

「時々さ、考えるんだ」 「俺、ずっと高校生なんじゃないかって」 あらすじ 男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。爺ちゃんと婆ちゃん。世の中には、いろんな人たちがいる。 そこには、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。それぞれ“事情”を持…

殺戮ゲームの館〈下〉

この状況だけではない。犯罪を批判するニュースキャスターやマスコミ、世間すらも。批判や怒りが強いほど、自分自身の正義を証明できる。悪を叩くことに熱狂するのだ。どれだけ強く叩けたかによって、正義と満足感と自らの美しさが手に入る。 だからこそ、世…

殺戮ゲームの館〈上〉

「自殺は最後の手段だしな。ある意味いつでも出せる一枚しかないカード。だったら、そのカードを使うのはもっと後回しにしていいじゃないか、って俺は思うな」 あらすじ ―誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。一つは時折マスメディアをにぎ…