六百六十円の事情




「時々さ、考えるんだ」
「俺、ずっと高校生なんじゃないかって」

あらすじ

男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。爺ちゃんと婆ちゃん。世の中には、いろんな人たちがいる。
そこには、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。
そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。
とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。
日常系青春群像ストーリー。

感想
入間人間さんは今までいろんな群像劇をかいてるけど、これ最高傑作なんじゃないかしら。ってぐらい面白かった。
・While my guitar gentry weeps
主人公になりたいギター女の話。ちなみにニート。この物語は彼女に始まり彼女に終わる。一見変人でありながら誰もが持ってる悩みを抱えた女の人の話です。
・生きてるだけで、恋。
生きてるだけで恋。つまり高校生の話です。童貞と処女の話。中盤以降のこいつらの関係は赤面もの。もー羨ましいのなんの。竹仲が前に進む感じも好き。
・パタパタパタ
3段階女子小学生、ドミノの話。竹仲(弟)のヘタレっぷりときたら。
・愛とか祈りとか
2人のニートの話。ニートなのにお金に執着しないとことかあんまり好きじゃないんだけど、憎めない奴らです。大人びてるようで一番青春っぽい悩みを抱えて生きてる人らかもしんない。
・老人と家
ここからクライマックス。今までの話が全て繋がり、噛み合い始める。こういう青春群像劇が老人の視点で噛みあっていく演出が素晴らしい。
・Q.これはオフ会ですか?A.いいえカツ丼です
最終章。この作品の根幹。群像劇としてはありがちかも知れないテーマだけど、老人の語りがすごく良かった。
・What a Day
ラスト。爽快。

イラストが『センコロール』の宇木敦哉さん。おかげでアニメでヌルヌル動いてるとこを想像しながら読めました。内容的にも満点。入間さん実写映画も決まってのりにのってんなあ。