僕が七不思議になったわけ



「でも、私は卒業して、大人になって、最後まで生きて、そうやって、最後に言うんだ。全然ダメでも、つらいことばっかでも、いい事なんてほんのちょっとでも、大切な友達がいた事とか、大好きな人が出来た事とか、本気で笑った事とか、尊敬するお姉ちゃんがいた事とか、あなたと泥棒捕まえた事とか、全部に花丸つけて、百点満点だったって!私はおばあちゃんになってから言うんだ!」

あらすじ

石橋を叩いても渡らない心配性の高校生・中崎夕也はある夜、七不思議を司る精霊・テンコと出会う。
深夜の校庭に桜が舞い散る中、宙に浮かぶ袴姿の彼女は、高らかに不吉な言葉を彼に投げかけるのだった。
「おめでとう、お主はこの学校の新しい七不思議に選ばれた」なんと彼は七不思議の引き継ぎに、仮登録されてしまったのだ!
生きながらも七不思議の一つとなった少年の日々を綴った、思わずもう一度読み返したくなるミステリアス・ファンタジー
第20回電撃小説大賞金賞受賞作。


感想
「思わずもう一度読み返したくなるミステリアス・ファンタジー」このアオリ文句が相応しい傑作。
イラストは、「魔法遣いに大切なこと」の漫画等で有名なよしづきくみち先生。
主人公、中崎夕也はある夜、七不思議の精霊、テンコと出会う。
テンコと七不思議の契約を交わし、七不思議を使うことができるようになった夕也は、彼が気になっている女の子、朝倉さんのためにその力を使い、ストーカー退治や泥棒退治など、学校の身近な悪意に挑む。
ありがちなライトノベルっぽさを感じる出だしから、後半にかけて謎が溶けていく構成が秀逸。
あまり語るとネタバレになるので語るまい。とにかく構成が見事で、ちょっとした違和感すら伏線になっている。
また、終わり方も本当に良かった。心に残る締めだと思う。
是非作者の次回作にも期待したい。


読んだ後聞いた曲(なんとなく作品に合うと思った曲を紹介)