土橋真二郎

OP-TICKET GAME(2)

「この戦いはパンツのようなものなのだ。タンスにしまわれたパンツはただの布きれであり、女子のスカートと羞恥によって隠蔽された時点で価値が生じる。つまり困難が大きいほど目指すものの価値が高まる。女はそれを知っててパンツの価値を高めている。パン…

演じられたタイムトラベル

メンバーは最後の時間で、人間関係を修復することを放棄した。日常で培った関係は崩壊したのだ。いや、元々この関係が真実だったのかもしれない。上っ面で張りぼての関係だった。そして、このような密室の中で真実が見えたにすぎない・・・・・・。 あらすじ…

アトリウムの恋人2

「東京をマス目に分割するなんて馬鹿げてるよな」 前田は街に視線を戻した。 「現実も同じかもしれないよ。みんなはこんなマス目に管理されて生活を送っているの。ひとりにひとつマス目が与えられてね。そして、マス目を介して近づいたり離れたり、手を握っ…

アトリウムの恋人

「喫茶店の飲み物は味だけじゃないから。例えば、こんな場所で味わい深いエスプレッソなんて出されても意味がないじゃない。この汚水のような飲み物を出すからこそ、ここの客は何時間でも粘って好きなことができるんでしょ」 あらすじ とある理由により閉鎖…

生贄のジレンマ(下)

……ああ、戦争は麻薬のようだ。 身を削ろうとも続けるしかない。強者になるためではなく、弱者にならないために続行しなければならない。戦い続けるうちに利益が減り、自らを荒廃させるだけとなってもやめることはできないのだ。 あらすじ 他人を生贄にして自…

生贄のジレンマ(中)

「酒って、お祝いだったりお祭りだったりと、重要な場面で飲むものだろ。そのときの味って、値段や店とかじゃなくて、どんな状況で誰と飲むかで変わるものだと思うんだ」 あらすじ 生き残るためクラスメイトに投票し生贄を選出するか。それとも自ら生贄に志…

生贄のジレンマ(上)

この六組は優しいクラスだったのだ。すべての生徒が友達を裏切ることなく綺麗な意思を持ち続けた。この光景は美しさなのだ。恐怖と不安に打ち勝ち、誰も他人を生贄に捧げなかった。 ―だから、四十個の死体が並んでいた。 あらすじ 「今から三時間後にあなた…

ラプンツェルの翼(2)

「人間は―心を痛めるのが上手いからね」 ジェシカが水をすくいながら言った。 「心を痛めて悲しむの。その次に心を痛める元凶に対して怒るの。そして、正義のために怒る自分を見て喜び満足する。きっと、揺らし続けてないといけないんだと思う。感情って水み…

ラプンツェルの翼

「利害関係で何が悪いのよ。人間同士に利害関係がないケースなんてあるの?それとも、ただぼんやりそばにいるだけが純粋だって言うの?」 あらすじ “もしもこのトランクを拾った方がいたら絶対に開けないでください。人にとって危険な武器が入っています。 …

ツァラトゥストラへの階段(3)

福原は思った。心など始めから存在しないのだ。存在しないものに、心という言葉をつけた。だから存在しないものが存在してしまった。心とは、そんな矛盾そのものなのだ。だから未だになんであるかわからない。 あらすじ 福原駿介が囚人ゲームサイドから渡さ…

ツァラトゥストラへの階段(2)

ああ、なんてこの世の中にはデータが溢れているのだ。 あらすじ パルスに感染したことで一変した福原駿介の人生。 “兵士タイプ”“英雄タイプ”“指揮官タイプ”“魔法使いタイプ”のなかから“魔法使いタイプ”と診断された彼のパルス能力とは果たして…? そしてその…

ツァラトゥストラへの階段

「ナンバーワン運勢か。だと思った」 あらすじ 「大昔の神と崇められる存在や、歴史上の英雄などは、パルスをコントロールしていた存在なのよ」 得体の知れない“存在”―パルス。パルスは人の精神に寄生する。 パルスに寄生されると宿主となった人間の知力・体…

扉の外(3)

爽快だった。水風船のように破裂する頭部。心臓を貫かれ、アスファルトにのたうちまわる体躯。美鈴が放った弾丸がそうさせているのかと思うと、とても気分がよかった。 この弾丸こそ、最高のコミュニケーションだと思った。 もともと人間のコミュニケーショ…

扉の外(2)

「ね、分かったでしょ。悪魔カードなんてなかった。悪魔がいたのは、皆の心の中なのよ」 あらすじ 修学旅行に行くはずだった高橋進一が目を覚ましたとき、そこは密室で、しかもクラス全員が同じ場所に閉じこめられていた。 詳しい説明のないまま“ゲーム” が…

扉の外

自由という言葉が好きだった。 学校のルールをあえて破り、協調を嫌い、空を眺めて自由を気取っていた。しかし逆だ。管理されている状況があるから、自由を叫んでいる。太い鎖にがんじがらめになっているのだ。 あらすじ 修学旅行に行くはずだった千葉紀之が…

殺戮ゲームの館〈下〉

この状況だけではない。犯罪を批判するニュースキャスターやマスコミ、世間すらも。批判や怒りが強いほど、自分自身の正義を証明できる。悪を叩くことに熱狂するのだ。どれだけ強く叩けたかによって、正義と満足感と自らの美しさが手に入る。 だからこそ、世…

殺戮ゲームの館〈上〉

「自殺は最後の手段だしな。ある意味いつでも出せる一枚しかないカード。だったら、そのカードを使うのはもっと後回しにしていいじゃないか、って俺は思うな」 あらすじ ―誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。一つは時折マスメディアをにぎ…