扉の外




自由という言葉が好きだった。
学校のルールをあえて破り、協調を嫌い、空を眺めて自由を気取っていた。しかし逆だ。管理されている状況があるから、自由を叫んでいる。太い鎖にがんじがらめになっているのだ。

あらすじ

修学旅行に行くはずだった千葉紀之が目を覚ましたとき、そこは密室で、しかもクラス全員が同じ場所に閉じこめられていた。
訳もわからず呆然とする一行の前に、“人工知能ソフィア”を名乗る存在が現れる。そのソフィアが示したのは唯一絶対のルール―“ソフィアに従うこと。
従っていれば生命は保証されること”。だが、紀之は瞬間的な嫌悪感からソフィアからの庇護と呪縛を拒否してしまう。
紀之以外のクラスメイトはその“ルール”を受け入れ、“ルール”が支配する奇妙な日常がはじまった。
孤立した紀之はやがてひとつの決断を下すが…。第13回電撃小説大賞「金賞」受賞作、登場。

感想
おもしれー!定められたルール、集められた人間、限られた食料、幾つかに分かたれたコミュニティ、そして始まるゲーム。これで面白くないわけがない。もはや設定勝ち的な面白さを秘めているにもかかわらず、文章も非常に読みやすい傑作。常に予想が裏切られる展開にはハラハラドキドキでした。
土橋さんを初めて知ったのは『殺戮ゲームの館』だけど、あの作品を書いただけあって、ラノベでも強烈なものを書いてるなあって思った。一般に羽を広げるわけだ。
女の子がたくさんでてくる所謂ハーレムものみたいな側面もあるけど、出てくるキャラクターがどいつもこいつも個性的だから無問題。というか、どのヒロインも裏がありそうでとても楽しかったです。
序盤のひたすら周りを見下す主人公には若干苛立ったけど、2章で蒼井がガツンと言ってくれたから気分が良かった。
主人公の成長物語ともいえるかもしれない。
最後はちょっと投げちゃった風にも思えるけど、一貫したテーマは伝わってきました。次回どうなるのか楽しみで仕方ないです。