王手桂香取り!


(あゆむの動かせる全ての駒は、まだ戦いたいと言ってるで。敵玉を攻める駒も、自玉を守ってる駒も、駒台にある駒も、みんな活躍したくてうずうずしとる。その機会が失われたわけやない。だからしっかり顔を上げて先を読むんや。本当の勝負はここからやで!)

あらすじ

上条歩。中学一年。三度の飯より将棋好き。ひそかに憧れる人は将棋クラブの主将、大橋桂香先輩。そんな歩のもとに突如美少女たちが現れる。
「私たちは、将棋の駒だ」そう言い放つ彼女たちは駒の化身だという。人知を超えた将棋の強さをそなえる彼女たちの指導のもと、歩は棋力をめきめき上げていく。
折しも団体戦の大会が間近に控えており、歩は桂香先輩とともにライバルを打倒し、頂点を目指すべく奮闘する。第20回電撃小説大賞・銀賞受賞、駒娘たちと送る熱い勝負とさわやかドラマの将棋青春ストーリー!


感想
電撃小説大賞の銀賞受賞作。
主人公あゆむは将棋が好きだけど、最近伸び悩んでいる中学1年生。
そんなある日、彼のもとに3人の女の子が現れます。
彼女たちはなんと将棋の駒である歩、香車、桂馬の化身。
彼女たちが言うには、それ以外の駒はまだ主人公を認めていないらしい。3人の将棋の駒たちに鍛え上げられながら、主人公はライバルに打ち勝つため着実に棋力を伸ばしていく・・・。
というストーリー。
言ってしまえばライトノベルヒカルの碁ですね。
この作品で特にいいと思ったのは、彼の前に立ちふさがるライバルたち。ライバルがちゃんと男で、ちょっと人間味があるところも良かった。
そして彼らに立ち向かう主人公。
自分より格上の彼らを前に主人公がひたむきに努力する姿はいいものです。
公式戦では、絶対に駒たちの手助けは借りないという主人公のきっちりとした気構えはすごく読んでいて気持ちが良かった。
こういった物語には挫折がつきものだけど、主人公に驕りがなく、純真に努力を続けていたので、すごく好きになれました。
是非続きも書いて欲しいです。

読んだ後聞いた曲(なんとなく作品に合うと思った曲を紹介)