花物語




「―なあ、沼地。お前、『やらずに後悔するよりやって後悔するほうがいい』という言葉について、どう思う?」
「負け犬の遠吠えだ」
沼地は断言した。
「やらずに後悔するほうがいいに決まっている」
「そうだな。私もそう思う。やって後悔するほうがいいなんて言うのは『やってしまった後悔』の味を知らない、無責任な第三者の台詞だ」
だけど、と私は言う。
じっと、沼地の目を見つめたまま。
「だけど―一番いいのは、やって後悔しないことだ」

あらすじ

悪マーセント趣味で書かれた小説です。――西尾維新

“薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ”
阿良々木暦(あららぎこよみ)の卒業後、高校三年生に進級した神原駿河(かんばるするが)。直江津(なおえつ)高校にひとり残された彼女の耳に届いたのは、“願いを必ず叶えてくれる『悪魔様』”の噂だった……。
<物語>は、少しずつ深みへと堕ちていく――
これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!
君を知り、解きはなつための物語。

感想
主人公が神原駿河ってことで、全編にわたってギャグかな?なんて思ってたんですが、意外や意外。これが真面目で素晴らしい青春ものでございました。
卒業して言った先輩。過ぎ去っていく日々。変わっていく友人。これこそ青春の醍醐味ですよ。
神原駿河の意外な内心や貝木のもうひとつの顔など、キャラクターの意外性を出すのが本当に上手いなあ。
それと今回の語り手は神原駿河だったのは猫物語と同じでヒロインの成長を描くためかな?と感じました。前回の傾物語八九寺真宵でなかったのは彼女がすでに死んでしまっているから。だからこそ、彼女は別の形で成長した姿を見せた。とか。
こんなこと言って、なでこが阿良々木くん視点だったら恥ずかしいですがね。