ヴァンパイアノイズム

立ちあがって、抱きよせることもできるはずなのに、怖かった。
ずっと一人きりだった萩生のそばにいてあげたい。
でも、僕らは死んでしまう。
どうやって身を寄せあえばいいのか、僕にはわからない。

あらすじ

よんじょうしいか【四條詩歌】
家が隣同士の幼馴染み。初恋の相手から、歴代の好きな人、初体験の相手まで知っている。僕の部屋の気の置けない住人。

おのづかなち【小野塚那智
第九高校電研部部長。かなりの美人だけど、そうとうの変わり者らしい。クラスでの小野塚那智観賞は僕の趣味。

はぎおきほ【萩生季穂】
ろくに話したこともないクラスメイト……あと伊達眼鏡。なぜか突然「わたしを手伝ってくれない」と言われた。

ヴァンパイアノイズム[vampire:no:ism]
第九高校を舞台にした、せつなくて、ほんの小さな青春ラブストーリー

感想
第九シリーズ第2作目。何でかわからないけど、後ろから読んでいってますね。あんまりつながってないからいいか。
テーマは『死生観』。高校生、死を想う。文章やテーマが微妙に一般文芸ぽかったです。ラノベなのは美少女が何人かでてくるから?講談社とかからでてそうな雰囲気の一冊。
後半の葛藤こそすべてなんですが、そこに至るまでの主人公の死に対する想いへの変化が非常に丁寧です。序盤は死ぬことは何だかいやだ。って感じに対して意識もしてないんですが、後半にたっていくにつれて、死を強く意識しはじめ、だんだんと死に対する恐怖が膨れあがっていきます。やっぱ、死って意識すれば意識するほど、考えれば考えるほど怖くなっていきますよね。自分も普段は忘れるように、意識しないようにして生きてますし。そう考えると、主人公が考えれば考えるほど、死に囚われていく様子はすごく丁寧に描写されていたと思います。
また、キャラクターたちの配置も上手く、絶望同盟と同様に近くても遠いような微妙な距離間を描いています。ソーヤと詩歌の関係の絶妙さとかは他作じゃなかなかみれないんじゃないでしょうか?
総じて好みな作風でしたが、葛藤に対しての答え部分が短かったのがちょっと残念。彼らのその後がみてみたくもあります。