さくら荘のペットな彼女(10.5)



滑らかで繊細なメロディ。鍵盤の上を指がしなやかに走っている。やさしくて、でも、どこか無邪気さが残っているような旋律。
波打った気持ちが落ち着いていく。意識が絡め取られていく。
曲に確かな意思を感じた。それは、伊織の意思だ。
一番に栞奈を惹き付けたのは、ピアノを弾く伊織の表情だった。
「・・・・・・」
笑っている。
楽しそうに、笑っている。

あらすじ

空太に恋する栞奈は、美咲に巻きこまれて空太たちの修学旅行についていくことに。
空太の運命の日を栞奈目線から見た「長谷栞奈の突然な修学旅行」。高校3年生になった栞奈は、伊織からの告白を断り続けていた。
でもそれは素直になれない心の裏返しで―。
書き下ろし「長谷栞奈の不器用な恋愛模様」。
大学生になりゲーム会社を立ち上げようと頑張る空太。
ましろには会ってないが、いつも彼女を応援している。
少し大人になった空太たちの夢への途中の日々を見つめる書き下ろし「まだ夢の途中」。
豪華3本立て+おまけ掌編で贈る、変態と天才と凡人が織り成す青春学園ブコメ、これが本当の完結巻です。


感想
さくら荘のペットな彼女、10.5巻。フィナーレを飾るさくら荘の最終巻です。
僕はこの作品が大好きで、電撃文庫のラブコメではとらドラにつぐ傑作だと思っています。(実はアニメのBlu-rayも全巻持ってます(笑))
今巻もその期待を裏切らない実に素晴らしいサブキャラクターのエピソードが語られました。
空太の後輩に当たる伊織と栞奈を中心に据えた中編です。
栞奈に惚れてしまった伊織の空回りだけど、真っ直ぐな行動はとても青春してて良いですね。
彼ら後輩組が登場した時はちょっと不安もありましたが、ほんとうに良いキャラクターに書かれましたね。アニメでも見たかったなあ。
最後は空太とましろのクリスマスで締め。
原作完結ということでもうアニメをやることはないんでしょうが、続きが見てみたかったです。
次回作も楽しみですね。



読んだ後聞いた曲(なんとなく作品に合うと思った曲を紹介)