彩乃ちゃんのお告げ




「悪いことするのってさ、楽しいよね」
「うん。楽しい」
「いいんだよ、これくらいの悪いことは。たまにはね。人間なんてずっと真っ直ぐに生きられないから」

あらすじ

ほんの小さなきっかけで、幸せになれるんだ友人から頼まれて、小学生にして「教主さま」という彩乃ちゃんを預かった。素朴で真面目で礼儀正しい、一見普通の5年生。実は幸福を呼ぶ少女。心温まる小説集。

感想
最初はなんか気味の悪い宗教団体が出てきて彩乃ちゃんをさらっていくみたいな話かと思った。でも中身は全然違っててすごく癒されてしまいました。絶妙な短さが非常に心地良くてほっこりしてしまう素晴らしき連作短編。
よくに良かったのは『夏花火』。もちろん『夜散歩』『石階段』あってこその『夏花火』だけど。小さかったあの頃思い出す様な文章にときめきました。

亜美ちゃんはどれくらいお小遣いを貰ってるのかな。わたしは月に八百円だ。髪ゴムや、シールを買ったら、それで終わりだった。余裕なんてまったくない。マニキュアに三百円も出すなんて絶対に無理だ。