魔界探偵冥王星O ホーマーのH




確実なのは、死がすぐそこならば、生涯で初めてにして最後、完璧な嘘をつける。たとえば、死にたい。たとえば、生きたい。お前との約束、果たしたいとは思っていたんだ。ずっと愛していた。そんなことも言える。どうして完璧かといえば、嘘だろうとなんだろうと、遺された者はそれを本当と思うしか、どうしようもないからだ。

あらすじ

尋常ではない剛力で、心臓をくりぬかれた複数の死体。異常にして不可解。無情にして不条理。非常にして不可思議。
混迷を極める事件に俺―【冥王星O】は調査を開始した。
謎の鍵を握るのは、【涙を流す女】と【傅く女】、そして俺に襲いかかる、奇妙な【右手を隠す男】。
だが、何故か俺はこの男を憎むことができない。追いかけるほどに、霞がかる事件に、ただ呑み込まれる俺。
終幕に待ち受けるのは、勝利か、敗北か、それとも……。

感想
冥王星シリーズ3作目。講談社ノベルス版だと2作目です。おそらくは『ヴァイオリンのV』の続きになるのかな?
主人公が同一人物であるかのような描写が随所に見られました。

以前、俺は本当にライターをやっていた。

とか

先代の【冥王星O】がいた。
俺よりも強く、そして多分、頭も回る男だったろう。そんな男だから度胸もあった。
冥王星O】は俺を連れて、バケモノを倒そうとしていた。奴は合理的に俺を活用しようとした。

とかね。
ヴァイオリンに対する熱意が消えているのが気になったけど、合作だからしょうがないのか、実は別人なのか。どっちだろ。過去を消されたのかと思ってたけど、『ウォーキングのW』で【過去を弄ぶ女】が既に死んでいるって【窓をつくる男】がいってるからなー。あれも嘘かも知れないけどさ。そのへんもそのうち語られるのかねえ。
とりあえず次回も楽しみです。
ついでにこの『ホーマーのH』は佐藤友哉さんって説があるけど、どうなんだろ。それっぽいっちゃそれっぽいけど、佐藤さんだとしたら相当自分の味消してるよね。確か佐藤さんって”状況”を”情況”って書くんじゃないっけ?気のせいかもしれないけど。
作家さんが明かされる日もくるのかなあ。