少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語



「停まりましょう」
「十倉さま?」
「はい」
「さちは、すでに姫でございます」
その台詞に、胸が震えた。
「それでは、お返事ができません」
「では」
僕の腹が、脳の判断力を超えてぐっと締まった。

あらすじ

十倉和成。中堅おぼっちゃん大学の1年生にして、20歳。
彼のボロ下宿の天袋から、絶滅危惧種の大和なでしこ“さち”がとつじょ這いおりてきたその日から、その停滞しきった生活は急転する!ノンストップ迷走系青春ミステリー!


感想
2浪してとある私立大学に入学した主人公、十倉。
彼が2浪してまでこの大学に来たのは理由があった。それは、友人の死の真相を知ること。
しかし、入学して早一月。その情熱もどこかに消え、アルバイトに試験にと忙しい生活を送っていた。
そんな彼の住む女人禁制の寮の部屋から女子高生が現れる。彼女は一体何ものなのか・・・。

作者の一肇さんはニトロプラスのライター。僕はニトロのゲームは虚淵さんしかやってないのであまり詳しくないですが、
確かまどか☆マギカの小説も担当してた気がします。
だからこそ本作の語りが森見登美彦風だったのには驚きました。
わりとあっちこっち森見登美彦風です。
主人公の悩みが延々と続くのにはちょっと冗長さを感じはしましたが、後半のグイグイ物語を引っ張っていくような文章の勢いには著者の実力を感じました。
他作品もこんな語り口なのか気になります。


ちなみに帯は乙一さんと綾辻行人さん。豪華。
僕なんかは乙一さんの「僕が死んだら、この本を棺桶に入れてほしい」という推薦文で買っちゃいました。



読んだ後聞いた曲(なんとなく作品に合うと思った曲を紹介)