at Home




「何べんだって始めてやるよ。俺たちは家族だ。誰に向かっても、堂々とそう言ってやる。誰にも文句なんて言わせない」

あらすじ

そこは人がほんとうに帰るべき場所なのだろうか?ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷酷と波乱を存分にたたえたエンタテインメント小説。

感想
"家族"を主題にした4つの物語。珠玉の短篇集と呼ぶに相応しい1冊でした。
もともと『Story Seller〈2〉』で読んだ日曜日のヤドカリが好きだったので買ったんだけれど、どの短編も素晴らしい出来栄えでした。
・at Home
表題作。この本の中では一番好き。『家族計画』とか好きな人ならこの作品の良さはわかるはず。血のつながりじゃないよね。家族は。
・日曜日のヤドカリ
主人公と弥生さんの関係がとても素敵な話。この作品の雰囲気は漫画『マイガール』に似ている。最後の最後、会話文のみで構成される食事シーンが、とても良い味をだしてくれます。
リバイバル
家族の再生の話。子が産まれるということ、失うということ。
・共犯者たち
家族間の距離がすごく好き。

「相談しなくたって、力を借りに行かなくたって、兄貴がいると思うと救われてる。最後にはこの人を頼ればいいんだって、そう思えるだけで全然違う。」

それが家族かもねー。

なんだかすごく心に届いた一冊でございました。