チルドレン

「俺たちは奇跡を起こすんだ」

あらすじ

こういう奇跡もあるんじゃないか？
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作！
短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。

感想
伊坂幸太郎さんの連作短編のウマさは異常。『死神の精度』に続く傑作短篇集でした。著者曰く”短編集のふりをした長編小説”。最後まで読んでなるほど、と思った。
・バンク
銀行強盗の話。最初『陽気なギャングが地球を回す』の強盗達かとおもったけど、違ったようで。しかし彼らを匂わすような発言もあってそういう他作品とのリンクも面白いなあって思う。この短編以降あんまり目立たないけど、鴨居が好き。
・チルドレン
家裁調査官、武藤の話。武藤の人柄の良さもいいけど、陣内の強烈な個性が炸裂してる。どこか憎めない変な奴を書かせたら伊坂幸太郎さんは一級です。話的にも純粋に先が読めず、面白かった。
・レトリーバー
俺のために時間が止まった！とか主張し始めちゃう陣内さんの話。くだらないハズなのに異様に面白かった。永瀬の探偵っぷりがかっこいい。日常の謎系？
・チルドレンⅡ
またまた武藤の話。これがこの短編集の中じゃ一番お気に入り。奇跡がついに起きちゃいます。
・イン
永瀬の話。彼の視点だからこそのトリック。日常の謎系かな。終りとしては少し寂しい感じもするけど、すっきりしました。

以上。5編。伊坂幸太郎さん初めてって人にはこの『チルドレン』か『死神の精度』を勧めたい。