〔少女庭国〕



「お、おかしいじゃん、人殺してまでしたいことって普通ないじゃん。ないよね。私全然ないよ。人殺しても絶対やりたいこととか。やりたいことってないでしょ普通。やめようよこんなの。諦めちゃえばいいじゃん。普通に最後までだらだらしてようよ。馬鹿馬鹿しいよこんなん付き合うの。」

あらすじ

卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていた中3の仁科羊歯子は、気づくと暗い部屋に寝ていた。
隣に続くドアには、こんな貼り紙が。

卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。
“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする”

羊歯子がドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。
またたく間に人数は13人に。脱出条件“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。
扉を開けるたび、中3女子が目覚める。
扉を開けるたび、中3女子が無限に増えてゆく。
果てることのない少女たちの“長く短い脱出の物語”。


感想
ハヤカワSFの新刊、少女庭国の感想です。話題になっていたので読んでみたんですが・・・僕には合いませんでした。
中学の卒業式の日、主人公の羊歯子は気づくと暗い部屋に寝ています。
奇妙に思いながら周りを見渡すと、部屋のドアに張り紙があり、“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする”と書かれています。
部屋にはドアが2つありますが、片方にはノブがないためあけることが出来ません。羊歯子はもう片方のドアを開けます。
ドアを開けると出会ったことのない中学3年生の女の子が目を覚まします。そしてその部屋にも同じドアが・・・。


このあらすじを読めば誰もが、今流行りのクローズドサークルでの殺し合いものね、と思うでしょうが、なんとびっくり、違います。
ただネタバレになるのであまりこの作品については語りません。
良くも悪くもこの作品はSFであり、今流行りの〜なんて感覚で読むと度肝を抜かれることでしょう。
僕はあまりこの作品を人に薦めたくありませんが、読んだ人と語りたいとは思っています。それぐらい驚きの展開が待っています。


僕がこの作品を合わないと言っているのはストーリーにも理由はありますが、どちらかというと読みにくさが原因です。
この作品にはふりがなが一切ついていません。主人公の羊歯子。これはおそらく「シダコ」と呼ぶのでしょうが、作中でふりがなは皆無です。
さすがにわかりづらく、また作者が難しい漢字をよく使うのでテンポが崩れてしまい、あまり入り込めませんでした。
また、たまに支離滅裂な文章が出てきていたように感じます。わざとなのかもしれませんが、ちょっと読みづらく感じました(地の文で「とりま」を使う作家さんを初めて読みました)。
ただし、ここぞという時にはすらすらと入り込めたので地力はある作家さんだと思います。


まとめると、オススメはしないけど、語りたい。そんな作品でした。


読んだ後聞いた曲(なんとなく作品に合うと思った曲を紹介)

ワイルドローズ探したけどなかったので予告編で。
この映画はエンディング結構変えてましたけど、わりと好きだったりします。