オーデュボンの祈り


「人生ってのはエスカレータでさ。自分はとまっていても、いつのまにか進んでるんだ。乗った時から進んでいる。だけど、みんな気がつかねえんだ。自分のいる場所だけはエスカレータじゃないって思ってんだよ」

あらすじ

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!
第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。

感想
伊坂幸太郎さんのデビュー作。デビュー作ってだけあって非常に濃く著者の持ち味が出ています。
軽快なかけあいや魅力あるキャラクター不思議な世界観、言葉遣い、緻密な伏線。これでもかっ!ってな具合にたっぷり詰まっています。
未来を予知するカカシが何故殺されたのか?島に欠けているものとは何か?
あらすじや設定だけだとどこか不気味に感じるこの島をここまで不思議な温かさで描いたの所はさすがって感じです。
島に欠けているものがわかったとき、すーっ頭の中を透き通るような感動に包まれました。
漫画も出てるみたいなんで読んでみたいなあ。