名探偵に薔薇を


「汚れていても幸せになれる。そもそもきれいも汚いもお前の基準だろう。−絶対的な尺度がないとは言わないよ。でも俺にはそんなものはわからない。自分が求め、信じることを果たすためなら、それは全部正しいことだと思うだけだ。」

あらすじ

怪文書『メルヘン小人地獄』がマスコミ各社に届いた。その創作童話ではハンナ、ニコラス、フローラが順々に殺される。
やがて、メルヘンをなぞったように血祭りにあげられた死体が発見され、現場には「ハンナはつるそう」の文字が……。
不敵な犯人に立ち向かう、名探偵の推理は如何に? 第八回鮎川哲也賞最終候補作、文庫オリジナル刊行。

感想
『スパイラル』で有名な城平京さんの作品。さすがって感じです。
2部構成の緻密なストーリー展開に度肝を抜かれました。名探偵とは何か、真実とは何かを問う壮大なお話、だった気もします。2転3転するストーリーには目が離せません。これぞまさにミステリ。
特に2部の完成度がすばらしい、最後まで読んだとき、この作品が2部構成だった意味に納得しました。
そして三橋さんのキャラが超好き。これシリーズで書いてくれてもよかったのになあ。
なんか毅然とした犯人vs名探偵みたいな話を読みたくなった。『G線上の魔王』的なやつ。